「医療事務と介護事務、どっちの仕事が自分に向いているの?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。どちらも人気のある事務職であり、女性や主婦、再就職を考える方にも多く選ばれている職種です。
しかし、実際に働くとなると、それぞれ仕事内容や求められるスキルに違いがあります。
特に多くの人が気になるのが、「医療事務と介護事務、どっちが難しいのか?」という点です。
この記事では、両者の仕事内容や必要な知識、働く環境の違いを踏まえながら、それぞれの“難しさ”を比較していきます。
自分に合った職種を選ぶヒントとして、ぜひ参考にしてください。
結論!医療事務と介護事務・難しいのはどっち?

結論から言うと、「どちらが難しいか」は人によって異なります。
なぜなら、医療事務は専門知識や正確さが求められ、介護事務は対人スキルや体力的な負担が伴うからです。
以下では、それぞれの“難しさ”の特徴を詳しく見ていきましょう。
覚えることが多い医療事務・体力が求められる介護事務
医療事務の大きな特徴は、「専門用語や診療報酬の知識が必要」という点です。
たとえば、レセプト(診療報酬明細書)の作成には、病名や治療内容に対する保険点数の正しい理解が求められます
医療法規や保険制度についても学ぶため、資格取得時の勉強量は比較的多くなります。
一方、介護事務は「書類作成や請求業務」に加えて、現場の介護職員や利用者とのやり取りが日常的に発生します。
職場によっては軽度の介助を求められることもあり、デスクワークだけでは完結しないケースもあります。
つまり、
- 医療事務は「覚えることが多く、知識重視」
- 介護事務は「人との関わりが多く、体力面・柔軟性が求められる」
という違いがあるため、どちらが難しいかは、あなたの得意分野や働き方によって変わります。
業務の正確性 vs 対人ストレスの違い
医療事務は、保険点数や薬剤情報をミスなく扱う「正確性」が重視される仕事です。
レセプトの誤りは病院側の収入に直結するため、一つの数字のミスも許されない緊張感があります。黙々と集中して作業をこなすのが得意な方に向いている反面、プレッシャーを感じやすい人には負担となることも。
一方で介護事務は、利用者や家族、介護スタッフなど多くの人と接する場面が多いため、人間関係のストレスを感じることがあります。
とくに高齢者やそのご家族とのコミュニケーションでは、気遣いや根気が求められます。書類業務の傍らでクレーム対応を任されることもあり、精神的なタフさが必要です。
つまり、
- 医療事務は「ミスが許されない緻密な作業」
- 介護事務は「人間関係に強いストレス耐性が必要」
という形で、それぞれ違った意味での“難しさ”があるのです。
「資格取得の難しさ」を調査
医療事務や介護事務で実際に業務経験がある方、資格を取った方などの口コミを調べました。
資格取得では、医療事務の方が難しいというコメントがありました。

両方の検定試験を受けましたが、介護事務の方がずっと簡単だと私は感じましたよ。
就職の難易度であれば、求人がほとんどない介護事務の方が上かも…。
医療事務も経験がなくて未経験だと大変ですけどね。
(Aさん:30代)
医療事務は医療機関の仕事であり、医療用語や診療のプロセスに関する深い知識が必要になってきます。
また、患者の診療記録や保険請求など、法規制が厳格で複雑な手続きが必要な為、これらに対する知識が求められます。
一方、介護事務は介護に関する基本的な法律や制度について理解する必要はありますが医療的な専門知識を求められることはありません。
そのため、医療事務は介護事務に比べて資格の難易度が高いと言われます。
「働く現場の難しさ」を調査
医療事務と介護事務、働く現場ではどちらが難しいかというと、医療事務のほうが難しいというコメントがありました。



一定期間、一生懸命に頑張り実務経験が積めて実力がつくまで継続するのであれば、『医療事務』を推奨します。
実力がついてしまえば一生の手に職になり、転職も概ね楽になります。
また、病院などで管理職や高給待遇も夢ではありません。
介護事務や調剤事務では、医療事務に比べて最初はやり易いかも知れませんが、待遇や昇給は難しいように思います。(Bさん:40代)
医療事務では総合病院などで昇給を目指すこともできるので、収入アップややりがいをもって働くことができます。



介護事務か医療事務かと言われたら、医療事務だと思います。
介護事務は資格を取ってもほとんど意味がありません。この仕事はほとんどが経理業務も含んでいますので、簿記の資格の方が断然役に立ちますし採用されやすいです。(Cさん:30代)
難しさは個人の経験や能力にも依存しますが、一般的には医療事務が専門知識と精密な作業が求められるため、難易度が高いとされます。
一方で、介護事務は人間関係構築や柔軟性が強調され、感情的な負担もあるが、専門的な医学知識が不要であるため、入り口は広いとされています。
両職種ともやりがいのある仕事であり、自身の興味や適性によって選択すると良いですね。
医療事務と介護事務の違い


医療事務と介護事務の仕事内容
医療事務も介護事務も、報酬請求を行うレセプトがメイン業務です。
どちらの仕事も”事務”と名のつく業務ですが、医療現場と介護現場では仕事内容が違う点もあります。
医療事務 |
・診療報酬請求業務 |
介護事務 | ・介護報酬請求業務 ・受付業務 ・お客様対応 ・会計業務 ・事務的作業 ・清掃など |
医療事務はレセプト業務のほか、医師や看護師のサポートを行ったり、患者の受け入れや電話対応などを行います。
一方、介護事務はレセプト業務のほか、利用者やその家族との連絡や相談に応じたりすることもあり、介護事務は医療事務と比べて人と関わることが多く、コミュニケーション能力も必要になってきます。
医療事務と介護事務の給料の違い
医療事務と介護事務、それぞれの平均年収や時給などを調べてみました。
医療事務 |
正社員:平均年収 338万円 |
介護事務 | 正社員:平均年収 336万円 アルバイト・パート:平均時給 1,019円 派遣社員:平均時給 1,342円 |
求人ボックスで調査した求人統計データによると、医療事務と介護事務の給料に大きな差はありません。
このデータはあくまでも平均であり、地域、勤務先や経験・求められるスキルによって大きく差があるため、一概には言えません。
ただ、医療事務、介護事務ともに、日本の平均年収よりも低い傾向にあるため、収入アップを目指すなら医療事務で総合病院などで昇給や管理職を目指すことをおすすめします。
医療事務と介護事務で取得できる資格は?


医療事務、介護事務ともに民間資格のため、各実施団体が主催している資格が多くあります。
ちなみに、どちらの仕事も資格取得は必須ではありませんから、資格を持っていなくても働くことはできます。
ただ現場では実務経験者を求められることが多いため、未経験の場合は資格を取得することで知識やスキルを身につけていることの証明になり、就職・転職活動でアピールすることができます。
医療事務の資格
資格名 | 詳細 | 資格取得が目指せる通信講座 |
---|---|---|
診療報酬請求事務能力認定試験 | 実施団体:公益財団法人 日本医療保険事務協会 受験資格:誰でも受験できます 受験方法:指定の試験会場のみ 年2回(7月、12月) 受験料:9,000円 合格率:30% | フォーサイト |
医療事務管理士技能認定試験 | 実施団体:技能認定振興協会(JSMA) 受験資格:誰でも受験できます 受験方法:試験在宅受験(毎月)ネット試験(いつでも可) 受験料:7,500円 合格率:50% | 大栄 |
医療事務認定実務者 | 実施団体:全国医療福祉教育協会 受験資格:誰でも受験できます 試験:在宅受験 受験料:4,500円~5,000円 合格基準:正答率60%以上 | ユーキャン |
医療事務資格 | 実施団体:日本能力開発推進協会 受験資格:認定教育機関の全カリキュラムを修了した者 試験:在宅受験 受験料:5,600円 合格基準:得点率70%以上 | キャリカレ |
介護事務の資格
資格名 | 詳細 | 資格取得が目指せる通信講座 |
---|---|---|
介護事務認定実務者(R) | 実施団体:全国医療福祉教育協会 試験:在宅受験 受験料:5,500円 合格基準:60%以上 | ユーキャン |
介護事務資格 | 実施団体:日本能力開発推進協会 試験:在宅受験 受験料:5,600円 合格基準:70%以上 | キャリカレ |
介護事務士 | 実施団体:全国医療福祉教育協会 試験:在宅受験 受験料:3,000円 合格基準:非公開 | ー |
介護事務管理士 | 実施団体:JMSA技能認定振興協会 試験:在宅受験 受験料:6,500円 合格基準:70%以上 | ソラスト |
介護報酬請求事務技能検定 | 実施団体:日本医療事務協会 試験:在宅受験 受験料:6,600円 合格基準:70%以上 | 三幸福祉カレッジ |
医療事務と介護事務はどっちが難しい?まとめ


医療事務と介護事務を比べると、医療事務の方が難しいと言われています。
両社とも患者や施設利用者に対して診療報酬を作成したり、受付や庶務などの仕事を行いますが、医療事務は医療機関での診療に関連する業務が中心であるのに対し、介護事務は介護施設での入居者の生活全般に関わる業務が特徴です。
どちらも専門知識が必要で、決して簡単な仕事ではありません。
医療事務と介護事務、どちらの仕事に就きたいのか、どんなことがしたいのか、何を目指すのかを考えて、選んでみてはいかがでしょうか。